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このページをコピーしてお使い下さい ページのタイトル 「CASE」+「数字」+事件簿+「@ヴァイレサック」 でお願いします。「」は必要ありません。 CASE [XX] ■事件の名前(もしくは物語のタイトル)(必須) ■主人公 ■年代・時期(必須) ■概要(必須) ■要因 ■推移 ■結果 ■登場人物(登録キャラクターを使った場合は必須) ■作者(必須) ■その他 上へ
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MISSION:2 ◇某山間部 偽装ガレージ 事務室 古く年季を感じさせるが、清潔でよく整頓された一室。 その部屋中に若い女の怒鳴り声が響いた。 「ふざけんじゃないわよ~ッ!」 声量だけで窓ガラスを割りそうな勢いである。 明け方に倒れこむようにして事務室のソファで眠りについた阿部 玲司にとっては 非常に不愉快な目覚め。 近くのデスクに手を伸ばして置き時計を確認すると、時刻は午前9時。 (まだ3時間しか眠っていない……) パートナーのクレア・ゴールドスミスが何処かの誰かと喧嘩腰で話しを しているようだが、玲司は心底どうでもよかった。今はただ眠りたい。 ブランケットを被り直して、もう一度目を閉じる。 「――というかさっさと払えッ!!」 明け方まで一緒に作業をしていたのに、この女は何故こんなにも元気なのか。 クレアの怒鳴り声は一向に収まる気配がなく、むしろエスカレートしていった。 「射突グレネード」「修理費」「払え」という単語が繰り返し出てくる。 (アリゼブラ重工と話してるのか……) 玲司は寝起きの頭で昨日のことをぼんやりと思い出した。 (昨日はアリゼブラ重工の試作兵器――射突グレネードのテストに行ったんだよな) 射突グレネードは射突ブレードの杭にグレネード砲弾を取り付けたようなパーツで 目標に杭を撃ち込んだ後、目標内部でグレネード砲弾を炸裂させるという エゲツナイ代物。まさしく一撃必殺の武器と言えよう。 その威力は凄まじいものであったが……。 問題は一発限りの弾数と使用した側のACの腕も一緒に吹き飛ばす事である。 面白いパーツではあるが、あれでは製品化してもまず売れないだろう。 当然ながらテストを行った玲司のACは片腕を失った。 なんとか修復できないものかと、あれのせいで眠るのが遅くなったのだ。 (クレアのやつ、腕の修理費を請求しているのか) ACの修理費用は当然報酬に含まれているというのが アリゼブラ重工の言い分であったが、クレアは事前に説明がなかったとして 納得していなかった。 「どうせ無理だろう」と高を括っている玲司はブランケットを頭まで被り 再び眠りにつこうとしたが―― 「いいんですか? うちのレイヴンが黙ってませんよ?」 襲撃予告と取られてもおかしくない台詞を聞いて飛び起きた。 「どうも阿部です。うちの事務員がとんでもない事を…………。はい。……いえいえ。 …………もちろん修理費用は結構です。……はい。……はい。はい、失礼しまーす」 安堵した玲司と対照的にインターコムを奪われ、勝手に通信を切られたクレアは 耳まで真っ赤。肩口まであるプラチナブロンドの髪を豪快に揺らしながら ずいずいと玲司に詰め寄った。 「ちょっと、なにするのよ!」 「いや、あれは脅しに聞こえるぞ」 「あれぐらい言わなきゃ分からないのよ。 あたしたちみたいな無所属は舐められたらオシマイなんだよ?」 「別にいいだろ。舐めたい奴には舐めさせてやれば。 それに俺は今回の報酬に満足してる」 「あんなゴミパーツ貰ってどうするのよ」 玲司は報酬とは別に試作兵器の射突グレネードをアリゼブラ重工から譲り受けていた。 「絶対に使わないでよ。自機の腕が吹っ飛ぶとかありえないから」 「へいへい」 「はぁ……。パーツを貰ってくるのはいいけど、試作品とか二流品ばっかり。 うちは貧乏なのに売れないパーツばっかり集めてどうするのよ」 「コレクションを売る気はないから」 「今、コレクションって言ったわね」 「……い、言ってない」 「言ったッ! 変てこなパーツを集めるのは趣味って事でしょ? 信じられない!」 クレアは「信じられない! 信じられない!」と繰り返しながら 玲司の首に掴み掛かった。 「ギブ、ギブ……」 タップしながらギブアップ宣言をしても、ぐいぐい締め上げられていく。 細い腕のどこからこんな力が出るのか。 「ギ……ブ……」 玲司が意識を失いかけたその時、部屋のドアが勢いよく開け放たれた。 「グッドモーニーング!」 どかどかと入ってきたのはシェリー・ゴールドスミス。 「あらあら、相変わらず楽しそうな職場ですね」 まるで微笑ましいものを見たかのような口ぶりで言い放った。 「ゲッホ、ゲホ……楽し……そう……?」 クレアから開放された玲司が咳き込みながら異議を唱える。 「お前の妹に殺されかけてたところなんだが……」 「クレアなりのスキンシップでしょう? それより、こんな遠くまで訪ねて来たんですよ。お茶ぐらい出してください」 「うちは喫茶店じゃねーぞ。帰れ」 「いいんですか? そんなに邪険にして。 せっかくレージたちに仕事を紹介してあげようと思ったのに」 「クレア君、なにしてるんだい。早くお姉さんにお茶を出して」 ◇セントラル・シティ 老舗割烹 小島屋 依頼者とレイヴンが直接会ってやり取りを行うことは稀である。 両者の保安上の問題であったり、効率的な問題であったり、理由は様々。 近年、急速に勢力を拡大しているレイヴンズアークのような斡旋組織が 籍を置く傭兵に対して専属契約を禁じているのも、大きな理由のひとつだろう。 特定の勢力に所属していない独立傭兵である阿部 玲司も例外ではなく 依頼者と直接会うことは滅多にない。 今回のようなケースは非常に稀である。 緑色の照明が照らす不気味な座敷にいるのは5名―― カジュアルな黒いスーツに身を包んだ阿部 玲司とクレア・ゴールドスミス。 会席料理の並ぶ大きなテーブルを挟んで、依頼者とその部下と思しき男が2名。 互いに紹介を済ませ、玲司と依頼者は談笑を始めたが「あそこの製品は奥が深い」 「いい仕事しますよね」「職人魂を感じる」といった内容の会話に クレアはついていけなかった。ついていきたくなかった。 意気投合した2人はかれこれ2時間近くパーツ談議に花を咲かせており 一向に本題に入る気配がない。いい加減うんざりしたクレアは 2人の会話を聞き流して、テーブルの上に置かれた名刺に目をやった。 『FM社 代表取締役 ケビン・スパイシー』 (姉さんはこんな人とどこで知り合ったのかしら?) FM社――フォーマルモデリング社はハッキリ言うと三流の兵器メーカーである。 “これは有名なあのパーツですよね? あれ……? よく見るとどこか違うぞ” という製品。所謂、有名ACパーツの「パチモノ」を作っている企業であり FM社――フェイクメイカー社と一般的には認識されている。 ここに来る前に予習したところによると <ムーンライト>のパチモノである<アースライト>や <カラサワ>のパチモノである<カラクサ>などが主力製品であるらしい。 今回の依頼者がそんなFM社の二代目社長、ケビン・スパイシー。 恰幅のよい中年男性で「がははッ」と豪快に笑うのが特徴的だ。 FM社が小さな企業とは言え、社長自ら出張ってくるのは予想外であった。 (それにしても直接会って話したいって呼び出しておきながら このオヤジはいつまでレージとパーツ談議を続けるつもりなのかしら。 あ~、じれったい。さっさと本題を話しなさいよ) 完全に蚊帳の外であるクレアが痺れを切らしかけた時―― 「ところで阿部殿は今週末にセントラルのアリーナで行われる イベントのことはご存知か?」 やっと本題らしきものが始まった。 「ミラージュのアレですか?」 「いかにも」 今週末、セントラル、アリーナ、ミラージュ。 このキーワードから導き出される解はクレアにも心当たりがあった。 ミラージュがその力を誇示する為だけに開催する特殊なアリーナ。 ミラージュ製のパーツを使ったレイヴンが格下のレイヴンを叩きのめすという趣向で 殆ど公開処刑に近い催しである。 「ではテラというレイヴンをご存知か?」 「もちろん知ってますよ」 玲司は淀みなく答えたが、クレアはテラというレイヴンには心当たりがなかった。 (この仕事を始める時に有力なレイヴンの名前と詳細は全て頭に叩き込んだ筈なのに。 レージが知っていて、あたしが知らない?) テーブルの下で玲司をつついて「あたしにも分かるように教えて」と合図を送る。 「あの人ですよね? <カラサワ>使いの」 クレアの意図を理解して玲司はテラの説明を始めた。 「レイヤード時代、今はもう存在しないグローバル・コーテックスのランカー。 名銃<カラサワ>の扱いに最も長けたとされるレイヴン」 「いかにも、いかにも。よくご存知ですな」 「俺が生まれる前に引退した人ですけど、ファンなんですよ。 ストイックな感じがかっこいいじゃないですか」 (なんだ、現役じゃないのか) クレアは自分がテラを知らないことに納得した。 いくらなんでも遥か昔に引退しているレイヴンは守備範囲外。 「実はそのテラが<カラサワ>を携えて一度だけアリーナに戻って来るのです」 「それはファンとして見に行かなければなりませんね」 のん気に「観戦に行きたい」と答えた玲司とは違い スパイシー社長がどんな依頼をしようとしているのか、クレアは大方気づいた。 (うわー、レージの好きそうな依頼だ) 「阿部殿、あなたにはテラと戦っていただきたい」 (ほらきた。どうしてあたしたちのところに来るのは こんなろくでもない依頼ばっかりなのかしら。あのバカ姉め……) 「当社の製品を使ってミラージュ主催のアリーナでテラを倒してもらいたいのです」 スパイシー社長は脇に控える部下から携帯端末を受け取り ディスプレイを玲司の方にくるっと回転させた。 「KARAKUSA-MK3……」 そこに映し出された<カラサワ>のようで<カラサワ>ではないパーツの名を 玲司はぽつりと呟いて続けた。 「<カラクサ>の最新モデルですか?」 「いかにも! <カラクサⅢ>はFM社の集大成であり、次期主力製品です。 阿部殿にはこれを使ってテラを倒していただきたい」 ◇セントラル・シティ 老舗割烹 小島屋 一般客用駐車場 「どーしてあんな依頼引き受けちゃったのよ……」 料亭を出て会話を盗み聞きされる心配のない空間――玲司の白い愛車の中に 入った途端、クレアは不満の声を漏らした。 助手席から送られてくる非難の眼差しを受け流しながら玲司は答える。 「成功報酬が相場よりもよかっただろ?」 「当然でしょ! 真っ先に睨まれるのはあたしたちなんだから」 ケビン・スパイシー社長の依頼はミラージュが力を誇示する為に開くアリーナを ぶち壊してほしいと言っているようなものだ。 この依頼が成功したら、ミラージュは体面を傷つけられる事になる。 「パチモノメーカーの為にミラージュに目をつけられるなんて割に合わないわ」 「まあそう言うなよ。FM社は模造品から始まった企業だが 今では確かな技術力を持ってるんだぞ。それに頑張ってる社員の為に フェイクメイカーっていう汚名をそそぎたいなんて、泣かせる話じゃないか」 「フン、そんな話にこれっぽっちも同情なんかしてないくせに」 スパイシー社長が語ったお涙頂戴の苦労話は実に胡散臭かった。 (要は本物の<カラサワ>を衆目の前で喰って見せて 自社製品の知名度を上げたいだけじゃない) 「で? 依頼を引き受けた本当の理由は?」 「なんのことかな?」 「しらばっくれるわけ?」 「…………わかった、わかりましたよ」 本当のことを言うまで全く譲ろうとしないクレアに玲司は降参した。 「お前には分からないかもしれないけど、あのテラと戦えるんだぞ? 生であの人の戦いを見れるだけでも感動物なのに。 オマケにFM社の新商品<カラクサⅢ>を一番乗りで使えるんだ。 これはもうやるしかないだろ?」 「つまり利害度外視で、受けたいから受けたの?」 「そのとおり」 「ハァ……」 予想の範囲内とはいえ、玲司があまりにも嬉しそうに語るせいで怒る気も失せてしまい クレアは深い溜息をついた。 (こんな男のサポート役を買って出た過去の自分に助言してやりたい気持ちだわ……) しかし後悔しているわけではない。共に歩むと決めたあの日から一度たりとも。 「今更『やっぱりやめます』とも言えないし、やるしかないわね……」 「さっすが俺のパートナー! 話が分かる!」 「で? そんなに凄いテラ相手に何か勝算があるの?」 「今のところは無い。これから考える」 「バカ」 「さーて、明日から忙しくなるぞ」 ◇某山間部 偽装ガレージ 格納庫 阿部 玲司の格納庫には数多くのAC用パーツが存在する。 ACの全長を遥かに超えた砲身を持つ狙撃砲。背部に装備する特殊ブレード。 謎の撹乱兵器。一見しただけでは用途不明なパーツ等々。 数だけは大したものだが、その殆どに資産価値はない。 「物の価値を決めるのは他人ではなく、最後に手に取った者だ」と どこかの偉い人は言っていたが、共に仕事をしているクレア・ゴールドスミスは 玲司の趣味に大変ご立腹である。 今ではこれら二流品や試作品、珍品の収集自体が 玲司の“目的”になっているが、元々は“手段”であった。 どのようにしてそうなったのか? 事の仔細を説明するには阿部 玲司がレイヴンになった経緯から話さなければならない。 その昔、阿部家とゴールドスミス家はお隣同士であった。 阿部家には母親がおらず、ゴールドスミス家には父親がいなかった。 両家は自然とひとつの家族のようになり、それなりに楽しく日々を過ごしていた。 楽しい日々は続かないもので、突然ゴールドスミス家の母親が事故で他界してしまう。 まだ幼く、他に身寄りのなかった姉妹は施設に預けられそうになるが 玲司の父親が保護者を買って出てくれ、事なきを得た。 それからしばらく平和は時が流れ、シェリーとクレア、玲司の3人は 物事を少しは考えられる歳になった。 ある日、玲司の父親が3人を集めてこう宣言した。 「脱サラしてレイヴンになろうと思う。昔から夢だったんだ」 四十超えの平凡なオジサンが今からレイヴンを目指すなど 何かの冗談か、頭がおかしくなったのではないかと思われたが……。 一年後――“運悪く”玲司の父親は本当にレイヴンとなってしまった。 彼がレイヴンになれたことは奇跡であり、奇跡はそう続かない。 後には当然の結果――依頼を受ける度に借金が膨らむ――だけが待っていた。 そして借金返済の為に高額な依頼に挑んで、玲司の父親は帰らぬ人となってしまった。 一番恐れていた最悪の事態が現実となって玲司を襲った。 一般人がまともに働いても返せそうにない額の借金。 それが息子である玲司のところに回ってきたのだ。 「あ、あはは……。クソ親父のせいで人生終わった……」 「人生を諦めるのはまだ早いだろう」 途方に暮れていた玲司に道を示したのは死んだ父親の友人を名乗る シド・ワイズという男であった。 「残ったACパーツを全て売っても二束三文。そこでだ――」 シドは父親の遺品を使って玲司にレイヴンになるよう提案した。 「レイヴンとして稼げるようになれば返せない額でなない」 この時の玲司はACが好きでアリーナに試合を観戦に行く程度の ごくごくありふれた一般人。父親の二の舞になる可能性は非常に高かった。 「どうせ倒れるなら、前のめりに倒れてみるか……」 半ば自暴自棄ながらも玲司はシド・ワイズの提案を受け入れた。 その本当に倒れてしまいそうな後ろ姿に耐え切れず、口を開いたのがクレアである。 「その……。おじさんにはお世話になったし、あたしも手伝う」 義理どうこうと言葉にしつつも、レイヴンという未知の世界に ひとりで踏み込もうとする玲司を放っておけなかったのが彼女の本音だろう。 かくして阿部 玲司はレイヴンとして活動を始めたが 一発目の依頼から全く上手くいかなかった。 その特殊な才能ゆえ、アーマード・コアという兵器を扱えても やはり素人には荷が重い。 このまま続けてもモノになる前に借金が一回りは大きくなる。 そう判断した2人は即座に方向転換。 地方アリーナに向かった。 これが当たりで、玲司はアリーナの初戦で見事勝利を収めた。 対戦相手の実力は玲司と同程度であったが、アセンの相性がよかった。 どんな物にも有利不利の相性があり、ACでは俗にアンチアセンと言われている。 事前に対戦相手が分かっているアリーナでは 相手のアセンにアンチアセンを被せる事でアドバンテージを得ることが容易い。 玲司の特性は大きな武器となり得るのだ。 ここで問題になるのが資金面である。いくら勝利を重ねても次の試合の為に 正規パーツを新調していたのでは何時まで経っても借金は返せない。 そこで安価な二流品を使うようになったのである。 この作戦は信じられないほど上手くいった。 アリーナの下位から中堅に相性勝ちして、また他のアリーナに移って相性勝ち という嫌われ者の所業を3年間続けて、玲司とクレアは借金を無事完済した。 長々と話したが、つまり阿部 玲司はアリーナでの戦いが得意なのだ。 しかし今回の依頼は<カラクサⅢ>を使うように武装を制限されており アドバンテージはないに等しい。地力でもテラには遠く及ばないだろう。 一芸特化のテラと器用貧乏の玲司が同じ土俵で戦って―― 「勝ち目はあるんですか?」 2人の様子を見に来た=遊びに来たシェリー・ゴールドスミスは ロボットアームを操作してアリーナ用ACの調整をしている妹に問いかけた。 白い作業着姿のクレアが手を止めずに答える。 「あたしは無理だと思う。それに負けてくれた方がいいのよ。 ミラージュに狙われるのはいやだし」 (それにしては熱心に調整してますね。素直じゃないんだから) からかってやろうかと一瞬考えるも 妹の真剣な横顔を見てシェリーは別の事を口にした。 「それで<カラクサⅢ>はどんな感じなんです?」 「スペック上は本家<カラサワ>に迫るものがあるわね。 …………いえ、一部分だけなら本家より優秀かも」 「ケビンが勝負に出るだけの事はあるみたいですね。レージが触ってみた感じは?」 「正式に販売が開始されたら二丁ぐらい買いそうな勢いよ」 「へえ~~。だとすると得物で大差をつけられる事はないと。 あっ、そういえば肝心のレージが見当たりませんね」 「事務室に篭ってるわよ」 「事務室……? 事務室でなにしてるんですか?」 「昔のテラの試合をエンドレスで観賞中」 「もっとこう、秘密の特訓みたいなのは?」 「ないわね。短期間で急に強くなれる特訓なんて映画やコミックの中だけよ。 あたしたちが取れるベストな戦法は『傾向と対策』。 テラは元有名ランカーで資料には事欠かないんだから」 「なんというか……。地味ですね」
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MISSION:5 あたしは普通の人間と少し違う。幼い頃から自覚があった。 「これをご覧になってください」 「100点満点の答案に何か問題が?」 「途中式や計算した跡が一切ありません。クレアさんに聞いてみても要領を得なくて」 「この子がカンニングをしたのではないかと? 馬鹿馬鹿しい」 「あの、お母さま?」 「あなたは1+1の途中式を書けと言われて書けるのですか?」 「仰っていることがよく分かりません。1+1とこのテストは違います!」 「クレアにとっては同じことです」 「娘さんの間違いを認めて、叱ってあげることも必要なんですよ?」 「まるで話にならない。クレア、行きますよ」 「お母さん……」 これがきっかけで担任の教師に嫌われ、それが自然とクラスメイトたちにも伝染した。 幼い頃は泣き虫で内気な性格という、苛めの対象にされやすいファクターを 元々持っていたのも原因だろう。あたしは一時期、酷く苛められた。 子供は純粋で、それ故に残酷だ。加減というものを知らない。 嬲り者にされるのは辛いが、集団の中で孤独を感じるのはもっと辛かった。 当時は「お姉ちゃん」と「お隣のレージお兄ちゃん」だけが心の支えだった。 母親? あの人は……。母性的な愛情なんか微塵も無かった。 あたしは“大切な研究成果”としか思われていなかったのだから。 一時期は普通に産んでくれなかったことを怨むくらいに嫌いだった。 反抗期というやつだったのかもしれない。 でも最終的には母親に感謝することになった。 だって、あたしは彼の力になることができる。 レイヴンになった彼を助けることができる。 普通の人間とは少し違うのだから―― ◇庵野塾拠点 デルタ要塞 地下ブロック 独房 簡素なベッドと洗面台、他にはむき出しのトイレしかない。 この薄暗い部屋に閉じ込められてから、どのくらい時間が経ったのだろう。 体感時間は当てにならないので、運ばれてきた食事の回数を思い出してみる。 3日と半日といったところだろうか。外の世界はおそらく今、夜だ。 「なんとかしないと……」 ベッドの隅で小さくなりながらクレアは呟いた。 頑丈にできているおかげで衰弱などはしていないが、焦燥感は募る一方だった。 ガイルという訛り男が訊いてもいないのにペラペラと喋ってくれたおかげで おおよその状況は把握できている。 (レージを誘き出す餌にされるなんて真っ平ごめんよ。早くここから逃げ出さないと) 庵野塾の活動拠点――デルタ要塞。 この要塞は一風変わった構造をしていて、主要ブロックは全て地下にあり 地上に露出している部分は全て防壁や砲台などの迎撃機構となっている。 規模は大きくないが護り易い、堅牢な作りをした要塞だ。 建造途中で放棄されていたところを庵野 雲が買い取って改修、完成させたという噂。 強力なバックボーンを持たないレイヴンの拠点は秘匿されるのが常だが デルタ要塞の事は業界でよく知られている。 知られているのに攻められないのは、やはりこの連中が相当に厄介だからだ。 リーダーの庵野 雲は勿論、脇を固めるレイヴンもレベルが高い。 そこにデルタ要塞の堅牢さも加わって、並大抵のことでは攻略不可能になっている。 庵野塾は報酬が高い方に味方する傾向が強く、大企業には報酬を払って利用した方が 利口だと思われているようだ。“支配という名の権力が横行する世界において 何にも与することのない例外的な存在である”を地で行っている組織。 そもそも庵野塾とはどのような組織だったか。 クレアは自分が知る限りの情報を頭の中で羅列してみた。 特定の思想を持たない傭兵集団。特定の組織や企業との関わりも無し。 超実戦派の傭兵育成機関としての側面を持ち、優秀な若いレイヴンを 多く輩出している。また、庵野塾から一度離れたレイヴンは 元同門だろうが何だろうが、全力で潰し合うというイカレ具合で有名。 血に飢えた荒くれ者たちの集まりをイメージしていたクレアは ここに連れて来られた当初は相当面食らった。 なにせ一部の構成員以外は、ほとんどが年端も行かない子供ばかりなのだ。 鉄格子の外に立って独房を監視しているジャックとンジャムジという名前の少年たちも 見たところ12~13歳くらいだろう。同年代の学校に通っている少年たちに比べて 物腰はしっかりしているが、顔にはまだあどけなさが残っている。 彼らは戦火で家や家族を失った戦災孤児であったらしい。 皆、庵野 雲のことを“先生”と呼び、慕っている様子だ。 それにしても庵野 雲が何を考えているのか分からない。 どうして戦災孤児の彼らを集めて育てているのだろう。 何らかの罪滅ぼし――贖罪のつもりなのだろうか……。 「!?」 思案に暮れていたクレアは不意に自分に向けられる視線に気がついた。 監視を任されている少年たちではない。もっと異質なもの―― 鉄格子越しに壮年の男がこちらを見ていた。 人相風体を知らなくても分かる。 (この男が庵野塾のリーダー……) クレアは直感的に理解した。この男が庵野 雲だと。 庵野 雲は胸の前で腕を組み、クレアにじっと視線を注いでいた。 黙って見られているだけで、息が詰まりそうになる。 沈黙に耐え切れずにクレアが口を開いた。 「あたしに何かご用かしら?」 組んでいた腕を解きながら庵野 雲が言った。 「阿部 玲司は君を取り戻しに来ると思うか?」 「来るわけないでしょ! こんな見え見えの罠に飛び込んでくるほど レージはバカじゃないわ。諦めてさっさとあたしを売り飛ばしたら?」 庵野 雲は再びしばらく黙った後、 「そうか、彼は来るか」 一言だけ言い残して、その場を去った。 ◇庵野塾拠点 デルタ要塞 地下ブロック 格納庫 アーマード・コアのコックピットは狭い。 パイロットを収めてハッチを閉鎖すれば、中はまさに“ぎゅうぎゅう”だ。 スティックやペダルや計器類に囲まれていて、手足を自由に伸ばすことは難しく 機動戦を想定して調整されたシートは、お世辞にも休息に向いているとは言い難い。 しかし、ガイル・ワーテ・島田は自らのAC――<デスペラード>の コックピットの中で阿部 玲司の襲撃に備えてずっと待機していた。 <デスペラード>に対して兵器以上の感情は持ち合わせていないが ガイルにとって、そこは不思議と落ち着く、居心地の良い場所であった。 コックピット生活は既に3日目に突入していたが、全く苦にはなっていない。 即座に出撃できる利点からも理想的な待機場所なのだ。 「ガイルにぃ~~~~~~~~!! いる~~?」 毛布に包まって軽く仮眠をとっていたガイルは外からの声で目を開けた。 ハッチを開放して顔を出すと、<デスペラード>の脚元に人影。 エリーア・大葉が見える。 ガイルの姿を認めたエリーアは<デスペラード>の機体表面の凹凸に 手足をかけて、あっという間にコックピットまでよじ登ってきた。 「猿みたいなやっちゃな」 「女の子にサルは酷いよ」 「サーカスからスカウトされるレベルやぞ。で、何の用や?」 「待機任務で頑張ってるガイルにぃのために夜食を持ってきたんだよ!」 エリーアはコックピットの外枠に掴まったまま上着のポケットから アルミホイルに巻かれた銀色の球体を2つ取り出した。 「おにぎりです」 「気が利くやないか」 「丸いの好きだったよね?」 「なかなかわかっとるな」 気の利いた差し入れ。何か言いたそうな顔。上着の下に着込んだパイロットスーツ。 受け取った好物を頬張りながら、ガイルはエリーアが来た本当の理由を容易に察知した。 (わっかりやすいやっちゃなぁ~) じっと顔を見つめられ続けるのも面倒なので、こちらから話を切り出してやる。 「お前、オレになんかお願いでもあるんとちゃうか?」 「ええ~っとね、あの、その……」 「気持ち悪いわ、はよ言え」 「賞金首を殺るのアタシに譲って、汚名挽回したいの!」 「汚名は返上、挽回は名誉の方や。アホ丸出しやぞ」 「そんなのどっちでもいいから、お願いぃぃぃぃ!」 「ホンマ、お前はオヤジのこと好きやのぉ」 「やっぱり、わかっちゃう?」 「色々と若作りしとるけど、オヤジは実年齢かなりいっとるぞ?」 「愛に歳の差なんてノープログラム」 「ノープロブレムな」 「細かい! 細かいよ、ガイルにぃ!」 「同じとこで同じ教育受けて育ったのに、なんでこないなってしまったんや……」 「ねえ、いいでしょ? 譲ってくれるよね?」 「残念ながら却下や」 「ええー!? なんで? どうして?」 「最後にオレと<デスペラード>の戦いを後輩どもに見せたろう思てな」 「さい、ご……?」 「この件が片付いたら卒業する。上がいつまでも居座り続けとったら 次が育ちにくいからな。お前もほどほどにしとけよ」 「そっか……ガイルにぃ、行っちゃうのか……」 「ここのルールはお前もわかっとるやろ? オレらが並んで戦い続けるのはオヤジの願いやない」 「うん……」 「ええ子や、卒業したら戦場でカチ合わんよう祈っとるで」 ガイルは瞳に涙をためてしゅんとなったエリーアの頭を優しく撫でてやった。 (あかんわ、湿っぽいのはかなわんなぁ……) 何か笑えることでも言ってやろうと思った刹那、けたたましいサイレンが 格納庫中に鳴り響いた。サイレンと同時に各所で点灯した警報灯の色は赤。 デルタ要塞では敵勢力の接近を意味する色である。 「やっと白馬の王子様がおいでなすったようやな」 ◇庵野塾拠点 デルタ要塞前方 ドゥガ渓谷 <デスペラード>を駆るガイルが真っ白なタンク型ACと会敵したのは 巨大な山々に囲まれたドゥガ渓谷の中ほど。 デルタ要塞の遥か手前に位置する開けた場所だった。 監視班の捕捉が早かったのだろう。万全の状態で襲撃に備えていたおかげもある。 しかし、これでほど要塞から離れた場所で会敵した理由は 単機で現れたタンク型<ホワイトリンク>の無茶苦茶な機体構成に因るところが大きい。 右手にアサルトライフル。左手に投擲銃。 右背にチェインガン。左背にリニアガン。 左右の手の甲に大型グレネード一対。 脚部右側面に無理やり取り付けられた拡散バズーカ、左側面にはショットガン。 開かれた肩部に見えるインサイドロケット。 エクステンションにパルスキャノン一対。 ENタイプのイクシードオービット一対。 積み過ぎ。超積載過多。 <ホワイトリンク>の機動性は明らかに死んでいるではないか。 銃身砲身に覆われて、まるで前面がハリネズミのような様相だ。 どう見てもまともに動ける重量ではない。 「ミスターアベレージ、がっかりやで……」 ガイルは期待していた。追い込まれた阿部 玲司がどう挑んでくるのか。 勝算が無くとも、それなりの意地を見せてくれるだろうと、勝手に期待していたのだ。 様々なタイプのアセンを使いこなせる阿部 玲司には無数の選択肢があった。 にも拘らず―― 「悩んだ結果がそれかいな」 『……クレアを返してもらおうか』 「かっこええのぉ~! 映画の主人公みたいや」 『今ならこれまでの損害賠償と半殺しで済ませてやる』 「はっはっはっはっはっ!! なかなかおもろいこと言うやん! ミスターアベレージはジョークの才能があるみたいやなっ! それとも固定砲台みたいなそれでオレに勝てるとマジに思っとる?」 『聞く気はないんだな……』 「あんたらに怨みはないんやけど、うちはぎょうさん金が必要でな。 残念ながらこの世は弱肉強食が基本や。レイヴンやっとったら分かるやろ?」 『……よく喋る野郎だ』 「なら、実力で黙らせてみい!」 ガイルが叫ぶのと同時に<デスペラード>は逆脚の跳躍力を活かして 一瞬で空高く跳び上がり、ACの戦闘においても有利な上のポジションを押さえた。 <デスペラード>は軽量の逆脚で、武装は速射型のスナイパーライフルが1つのみ。 あとは補助としてステルスとレーダーを積んだだけの高機動低火力型である。 重装甲高火力のタンク型<ホワイトリンク>とは正反対のACと言えるだろう。 (どう料理したろか) ガイルは阿部 玲司のレイヴンとしての力量を正確に把握していた。 罠を仕掛ける前に、過去の任務内容やアリーナの記録を徹底的に調べたのだ。 系統の違う様々なアセンを一定のレベルで使いこなすセンスは特筆に値するが 所詮は二流。器用貧乏の域を抜け出せていない。 庵野塾ナンバー2を自負するガイルの敵ではないのだ。 (当てが外れてしもうたな……) アセンブルで腕の差を少しでも埋めてくるだろうという予想は完全に裏切られた。 あの動けないタンクは鉄の棺桶もいいところ。 全力を出せば、戦闘と呼べるものになる前に終わってしまうだろう。 戦いを楽しむ趣味はないが、今回ばかりはそれでは困るのだ。 これを最後に庵野塾を巣立つガイルは後輩たちに見せなければならない。 庵野塾レイヴンの力というものを、目指すべき目標の高さを。 (――せやのに、このアホはトチ狂いよってからに) <ホワイトリンク>から放たれる大小様々な攻撃は三次元機動を得意とする <デスペラード>を捕らえることができずに空を切り続けた。 鈍重。動きが遅い、遅すぎて話にならない。 阿部 玲司は火力増強に執着するあまり、他を疎かにし過ぎているのだ。 どれだけ武装を増やしても、当てることができなければ意味が無いというのに。 様々なアセンを使いこなす男が肝心要の基本を見失っている。 もはや冷静な判断能力を失った憐れな弱いレイヴンでしかない。 <ホワイトリンク>からの一斉射を悠々と躱しながら、ガイルは再び通信を開いた。 「ちょっとパージした方がええんとちゃうか?」 『黙れっ!』 「頑固なやっちゃな、しゃあない――」 ここまで回避一辺倒だった<デスペラード>が唯一の武装である 右腕の速射型スナイパーライフルを初めて構えた。 集中力を高めて、 「オレが軽うしたるわ」 トリガーを絞る。 次の瞬間、<デスペラード>の放ったスナイパーライフルの弾が <ホワイトリンク>の脚部右側面に取り付けられた拡散バズーカの砲口に するりと滑り込み――バズーカが内側から爆ぜた。 爆発の衝撃でダメージを負い、大きく揺れた<ホワイトリンク>は なんとかバランスを取り戻し、持ち得る限りの武装で懸命に応射するが <デスペラード>にはかすりもしない。 たった1発も相手に被弾させることが出来ないレイヴンと たった1発で小さな砲口を狙うことが出来るレイヴン。 圧倒的な力の差。 それを認めようとしない声が通信から漏れ聞こえてくる。 『こんな、馬鹿な……ッ』 「まぐれやと思うか? もういっちょいくでぇ!」 ガイルが宣言した直後に<ホワイトリンク>の左腕の大型グレネードが爆発した。 今度は砲身内部のグレネード砲弾に誘爆して、左腕の肘から先が丸ごと吹き飛んだ。 「グレネードに投擲銃、左腕まで逝ったで、一気に軽うなったんちゃうか?」 『くそがああああああああああああああああ――』 「どんどんいこか」 パルスキャノン――リニアガン――アサルトライフル―― グレネード――ショットガン――チェインガン――ロケット。 白いカラスは一方的に羽を毟られ続け、最後にイクシードオービットを 破壊されたところで完全に沈黙した。 度重なるダメージの蓄積で、ついに動けなくなってしまったのだ。 「呆気ないのぅ……」 <ホワイトリンク>は全ての武装を失い、反撃はおろか逃げることすらままならない。 死すべき運命にあるパイロットを収めた鉄の棺桶。既にスクラップだった。 <デスペラード>は動けない<ホワイトリンク>の背面に回りこみ スナイパーライフルの照準をゆっくりとコックピットブロックに合わせた。 「あんたに怨みはないんやけど、死んでもらうで」 ガイルは阿部 玲司を生かしたまま捕らえるつもりはなかった。 レイヴンズアークがかけた懸賞金はデッドオアアライブ――生死不問だ。 生かしたままアークに引き渡す必要はない。 これが<ホワイトリンク>と阿部 玲司だったと確認さえできれば、それで十分。 余計な事を喋られる可能性はここで摘んでおく。 「怨んでくれてええよ」 至近距離からスナイパーライフルを発砲。 鈍い金属音と共に<ホワイトリンク>のコックピットブロックが歪んだ。 「…………」 スナイパーライフルの弾が装甲を貫通して中がグチャグチャになってしまわぬよう 射角を調整して、再び至近距離から発砲。 コックピットブロックが更に歪んだ。 「…………」 発砲。発砲。発砲。発砲―― 立て続けの着弾で<ホワイトリンク>のコックピットブロックは大きく形を変えた。 醜く歪み、もう中にパイロットが無事なまま収まるスペースは残っていない。 「運が悪かったなぁ、ミスターアベレージ」 ガイルは<ホワイトリンク>の潰れたコックピットを眺めながら無感動に呟いた。 じわりじわりと押し潰されて苦しんだであろう阿部 玲司に同情などしない。 レイヴンに身を置く以上、いつ自分の番が回ってきてもおかしくはないのだから。 「オペレーター、聞こえるか? 状況終了や」 『お、お疲れ様です。あの……』 「なんや?」 『ガイルさん、本当に強かったんですね』 「能ある鷹は爪を隠すっちゅうやつや、勉強になったやろ?」 『はい、勉強になりました』 「残骸の回収だけ頼むわ」 『了解しました。すぐに向かわせます』 デルタ要塞との通信を終えてから、ガイルは1人ため息をついた。 「実入りはええけど、しょうもない仕事になってしもうたな……」 そう吐き捨てながら戦場を後にしようと機体を反転させたその時 一条の青い閃光が<デスペラード>を襲った。 青い閃光は<デスペラード>のコアを背部から貫通。 一撃で機体を真っ二つに引き裂き――爆散させた。 閃光の直撃を受けたパイロットは機体が吹き飛ぶ前に蒸発したことだろう。 ガイルは己が身に何が起こったのか理解する間もなく死を迎えた。 何が起こったのか、全てを理解しているのは唯一人。青い閃光の射手―― 30キロ彼方の山中で規格外の得物を構えた白い四脚ACの乗り手のみ。 ◇ 白い四脚ACが構えるエネルギースナイパーライフルは異様に巨大だった。 ACの全長の3倍近い長さを持つ砲身は、超弩級戦艦の主砲クラスのサイズを 誇っている。もはやスナイパーライフルと呼べる代物であるかも定かではない。 メイングリップを右腕で持ち、サブグリップに左腕を添えているが ACの両腕だけではこれの本体重量を支え切れないのだろう。 砲身下部に太いバイポット(二脚)が取り付けられている。 そして四脚ACの右背部には専用の光学スコープ。 左背部には本体直結型の特殊ジェネレータを積んでいる。 全てが規格外。明らかにACが携行する武装の域を超えていた。 これのベースはミラージュ社製エネルギースナイパーライフルの MWG-SRFE/8なのだが、もはや完全な別物となっており、全く原型をとどめていない。 とある研究機関の「有効射程と威力をどこまで高められるか」 という、酔狂な実験の為に徹底的な改造を施された実験兵器である。 ACでの運用を考慮されていない上、たった1発で煙を上げて 使用不能になってしまう欠陥品ではあるが、その射程と威力は 想定外の距離から一撃で標的を葬ることを可能とした。 《ヴァイス5、無事か?》 『――なんとかな、機体の方は完全にやられてるが』 《ぎりぎりまで引っ張ってすまない》 『なーに、“自分の力量”だから分かってるさ』 《それもそうだな》 『気にせず行ってくれ。どうせ俺たちはその場凌ぎの急ごしらえで 元々あまり長くはないらしいからな。それよりも、クレアを頼む』 《ああ、後は任せろ》 『任せたぞ……』 《ヴァイス4より全ヴァイスへ、敵AC<デスペラード>の撃破に成功した。 ヴァイス5は行動不能。俺は予定通り換装を済ませた後、そっちに合流する。 庵野 雲以外のレイヴンもかなりの手練だ。全機、気を引き締めろよ》 『ヴァイス2、了解』 『ヴァイス6、了解』 『ヴァイス3、了解』 『ヴァイス7、了解』 『ヴァイス1、了解』
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植物/梅-2009年 2009-04-12 撮影日:2009年04月10日 名前 コメント ◇◆『植物』へ/
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問題 ○ × 補足 次のSMAPのメンバーのうちJRAの広告キャンペーンに起用されたことがある者を全て選びなさい 中居正広木村拓哉 稲垣吾郎香取慎吾草なぎ剛 次のうち、1984年の使い捨てカイロ「キンチョーどんと」のCMで原始人に扮した芸能人を全て選びなさい 桂文珍西川のりお 月亭八方西川きよし 次のうち、1995年にアパガードのCMに出演して「芸能人は歯が命」と言ったタレントを全て選びなさい 高岡早紀東幹久 加勢大周織田裕二内田有紀牧瀬里穂 次のうち、1995年の温泉で卓球をするサッポロビールのCMに出演した俳優を全て選びなさい 山崎努豊川悦司 阿部寛西田敏行長塚京三役所広司 次のうち、2010年に缶コーヒー『ボス 贅沢微糖』のCMに出演した「おニャン子クラブ」の元メンバーを全て選びなさい 横田睦美国生さゆり新田恵利生稲晃子渡辺美奈代白石麻子 岩井由紀子工藤静香山本スーザン久美子樹原亜紀 次のうち、2010年に放送された缶コーヒー・ジョージアのCMに「アフタヌーン娘。」として出演したタレントを全て選びなさい 安倍なつみ小川麻琴中澤裕子藤本美貴飯田圭織保田圭矢口真里 久住小春後藤真希市井紗耶香石川梨華 次のうち、2011年に放送された化粧品「アスタリフト」のCM「衝撃の出会い」編で共演した歌手を全て選びなさい 小泉今日子松田聖子 中森明菜 次のうち、2012年4月より放送のCM「消臭力・歌うチカラ篇」でミゲル君と共に合唱した歌手を全て選びなさい 西川貴教島谷ひとみ 奥田民生 次のうち、2012年にダイハツの車「Tanto」のCMで夫婦を演じたタレントを全て選びなさい ユースケ・サンタマリア小池栄子 山口智充深津絵里 次のうち、2012年に放送されたソフトバンクのCMで新ユニット「スマッホ」を結成したタレントを全て選びなさい 稲垣吾郎草ナギ剛 中居正広 次のうち2013年にアサヒビールの商品「アサヒオフ」のCMに出演したサッカー選手を全て選びなさい 岡崎慎司清武弘嗣長友佑都 乾貴士酒井高徳長谷部誠本田圭佑 次のうち、2013年放送のモブキャストのCMで武井咲と共演した元スポーツ選手を全て選びなさい アルシンドクロマティ ジーコバースボブ・サップラモス瑠偉 次のうち、アコムのCMに出演したことがあるアイドルを全て選びなさい 安めぐみ熊田曜子小野真弓石原あつ美大島麻衣木内晶子 うえむらちか安田美沙子井上和香夏川純中川翔子 次のうち、アサヒビールのお酒「ハイリキ・ザ・スペシャル」のCMに、2013年に出演したタレントを全て選びなさい マツコ・デラックス吉木りさ椎名桔平 トータス松本向井理上戸彩渡辺謙 次のうち、アミノサプリのCMに登場した麒麟戦隊アミノンジャーのメンバーを全て選びなさい うわのそらお肌へろへろ飲んべえ体脂肪 居眠り寝不足糖尿爆睡 次のうち、味の素株式会社の「クノールカップスープ」のCMに出演したことがある女優を全て選びなさい 宮崎あおい広末涼子鈴木杏 加藤ローサ宮沢りえ沢尻エリカ堀北真希 次のうち、糸井重里が手がけた広告のキャッチコピーを全て選びなさい 「おいしい生活。」「クーソーは、頭のコヤシです。」「人間だったら良かったんだけどねえ」「不思議、大好き。」 「私、脱いでもすごいんです」「日テレ営業中」「綺麗なお姉さんはすきですか」 次のうちエフワンチームのスポンサーをつとめたことがある日本企業を全て選びなさい USENカルビーコニカミノルタパナソニック神奈川クリニック田宮模型日本信販 CASIOオリンパスマツモトキヨシ佐川急便任天堂夕刊フジ 次のうち、過去に伊勢丹が広告に使用したキャッチコピーを全て選びなさい ハッピーエンド始まる。四十歳は二度目のハタチ。着やすい、つまり脱がせやすい。恋が着せ、愛が脱がせる。恋を何年、休んでますか。 じぶん、新発見。(西武百貨店)好きだから、あげる。(丸井)差し上げたのは時間です。(サントリー)不思議、大好き。(西武百貨店) 次のうち、過去に西武百貨店が広告に使用したキャッチコピーを全て選びなさい じぶん、新発見。不思議、大好き。 ハッピーエンド始まる。(伊勢丹)ひとりよりふたり。(丸井)四十歳は二度目のハタチ。(伊勢丹) 次のうち、キダ・タローがCM曲の作曲を担当したものを全て選びなさい 551蓬莱かに道楽日清食品「出前一丁」 森永製菓「ミルクキャラメル」明治製菓「チェルシー」 次のうち、木村拓哉が出演したテレビCMを全て選びなさい エスティックサロンTBCタマホームリーバイス ロッテ「トッポ」三共「リゲイン」参天製薬「サンテFX」 「エステティックサロンTBC」が正しい 次のうち、コカ・コーラのCMソングとなった曲を全て選びなさい BENNIE K『Dreamland』globe『still growin up』KinKi Kids『永遠のBLOODS』嵐『ハダシの未来』 H Jungle with t 『FRIENDSHIP』Mr.Children『innocent world』NEWS『星をめざして』PUFFY『赤いブランコ』SMAP『BANG! BANG! バカンス!』trf『BOY MEETS GIRL』 次のうち、広告業界で一般大衆に受けやすい要素を意味する「3B」に含まれるものを全て選びなさい babybeastbeauty bearbody 次のうちソニーのテレビ「BRAVIA」のCMに出演した人物を全て選びなさい 篠原涼子川口春奈内田篤人矢沢永吉 綾瀬はるか吉永小百合小雪松井秀喜福山雅治 次のうち、タバコの広告が全面的に禁止されている国を全て選びなさい イギリスフランス アメリカ日本 次のうち、タレントの剛力彩芽がCMに出演したことがあるものを全て選びなさい auミスタードーナツヤクルト「ジョア」山崎製パン「ランチパック」 ソフトバンクモバイルネスレ日本「キットカット」大塚製薬「ポカリスエット」東京メトロ 次のうち東芝のテレビ「REGZA」のCMに出演した人物を全て選びなさい 松井秀喜福山雅治 綾瀬はるか篠原涼子小雪川口春奈矢沢永吉 次のうち、常盤薬品工業の「眠眠打破」のCMに出演したアイドルユニットを全て選びなさい NMB48SDN48 HKT48 次のうちニンテンドーDSのCMに出演したことがあるタレントを全て選びなさい ナインティナイン宇多田ヒカル加藤ローサ高見沢俊彦松嶋菜々子世界のナベアツ 妻夫木聡篠原涼子 次のうち、パナソニックのテレビ「VIERA」のCMに出演した人物を全て選びなさい 綾瀬はるか小雪石川遼滝川クリステル 吉永小百合篠原涼子松井秀喜内田篤人福山雅治矢沢永吉 次のうち、プレイステーションのキャッチコピーを全て選びなさい 「あそぼー」「いくぜ100万台!」 「ゲームは一日1時間」 次のうち宮沢りえが出演したことがあるテレビCMを全て選びなさい canチューハイキットカットスーパーカップポカリスエット伊右衛門 チキンラーメンポッキー午後の紅茶雪見大福
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8bit・16bit機-所有ソフト TOP SNES(北米版スーパーファミコン)AERO THE ACRO・BAT★日本未発売ALIEN VS PREDATORANIMANIACSBOXING LEGENDS OF THE RINGBS THE LEGEND OF ZELDA(◆ディスク版リメイク・サテラビュー版・非売品◆)BULLS VS BLAZERS AND THE NBA PLAYOFFS★日本未発売CHAMPIONS WORLD CLASS SOCCERCLUE★日本未発売COOL WORLD★日本未発売DAFFY DUCK THE MARVIN MISSIONS★日本未発売DEMOLITION MAN★日本未発売FACEBALL 2000★日本未発売FIFA 96 SOCCER★日本未発売F-ZEROHYPER ZONEJIM POWRE THE LOST DIMENSION IN 3D★日本未発売JURASSIC PARKJUSTICE LEAGUE-TASK FORCEKILLER INSTINCT★日本未発売LETHAL WEAPON★日本未発売MAUI MALLARD IN COLD SHADOWMETAL WARRIORS★日本未発売MICHAEL JORDAN CHAOS IN THE WINDY CITY★日本未発売MORTAL KOMBATMORTAL KOMBAT 3★日本未発売MTV’S BEAVIS AND BUTT-HEAD★日本未発売NBA JAMNCAA BASKETBALLNFL QUARTERBACK CLUB ’96★日本未発売NIGHTMARE BUSTERS(◆新作SUPER FIGHTER TEAM版◆)★日本未発売NIGHTMARE BUSTERS(◆ニチブツPAL版・非売品◆)NINDO-WAY OF THE NINJAPAC-MAN2PAPERBOY 2★日本未発売PHANTOM 2040★日本未発売PIECESPRIMAL RAGE★日本未発売Relm★日本未発売RENDERRING RANGER R2(PAL版)RUN SABER★日本未発売SIM CITYSPAWN THE VIDEO GAME★日本未発売SPIDER-MAN X-MEN ARCADE’S REVENGE★日本未発売STARFOXSTARFOX 2(◆発売中止になった幻のソフト・サンプル版・非売品◆)STREET FIGHTER ⅡSUNSET RIDERS★日本未発売SUPER BASES LOADED★日本未発売SUPER BLACK BASSSUPER MARIO WORLDSUPER NES SUPER SCORP 6SUPER PROBOTECTOR-ALIEN REBELS(欧州版コントラ キャラがロボット)SUPER SMASH T.V.SUPER TENNISSUPER TURRICAN 2★日本未発売TETRIS 2★日本未発売THE ITCHY & SCRATCHY GAME★日本未発売THE JUNGLE BOOKTIMESLIP★日本未発売(コントラ風ガンアクション)TRUE LIESWAYNE’S WORLD★日本未発売WING COMMANDERWING COMMANDER-THE SECRET MISSION★日本未発売WWF SUPER WRESTLEMANIAX-MEN MUTANT APOCALYPSE TOP
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JALUX 本店:東京都品川区東品川二丁目4番11号 【商号履歴】 株式会社JALUX 株式会社ジャルックス(2001年3月~) 日航商事株式会社(1948年12月30日~2001年3月) 【株式上場履歴】 <東証1部>2004年3月1日~ <東証2部>2002年2月28日~2004年2月29日(1部指定) 【筆頭株主】 双日株式会社 【連結子会社等】 (連結子会社) JALUX EUROPE Ltd. 英国ロンドン 100.0% JALUX AMERICAS, Inc. 米国ロスアンゼルス 100.0% ㈱JALUXエアポート 東京都品川区 100.0% ㈱JAL-DFS 千葉県成田市 60.0% JALUX ASIA Ltd. タイ国バンコク 85.0% JALUX SHANGHAI Co.,Ltd. 中国上海 100.0% JALUX ASIA SERVICE Ltd. タイ国バンコク 100.0% JALUX HONG KONG Co.,Ltd. 中国香港 100.0% (持分法適用関連会社) ㈱東京機内用品製作所 東京都大田区 20.0% ㈱JALロジスティクス 東京都大田区 28.0% 東京航空クリーニング㈱ 東京都大田区 30.0% ㈱マルヨシ 東京都文京区 25.6% 三栄メンテナンス㈱ 千葉県山武郡 28.6% 航空機材㈱ 東京都大田区 24.0% ㈱JALUXライフデザイン 東京都品川区 50.0% ㈱UJプランニング 東京都港区 45.0% 【合併履歴】 2004年1月 日 株式会社ジェイエイエストレーディング 1972年4月 日 日航商事株式会社 【沿革】 昭和37年3月28日、日本航空㈱の子会社として、航空運送に付帯する事業を総合的に開発する事を目的として設立されました。これらの事業によって実力を養成し、航空関連の商社、調達機能を軸とし、一般市場にも対象を広げ、事業の多角化・国際化を積極的に推進しています。 昭和37年3月 資本金200万円をもって東京都中央区銀座に航空商事㈱として設立、損害保険代理店業、不動産業、物品売買業を開始 昭和37年10月 喫茶店業を開始 昭和38年4月 印刷事業を開始 昭和38年10月 社名を日航商事㈱に変更 昭和38年10月 清掃事業を開始 昭和39年4月 クリーニング事業を開始 昭和39年4月 大阪営業所開設土産物売店を開設(旧・大阪支店、現・大阪空港支店) 昭和39年5月 建築事業を開始 昭和40年6月 福岡営業所設立(旧・福岡支店、現・福岡空港支店) 昭和41年12月 札幌営業所設立(旧・札幌支店、現・札幌空港支店) 昭和46年8月 成田駐在員事務所開設(現・成田空港支店) 昭和47年4月 昭和23年12月30日設立の日航商事㈱(別法人)に吸収合併、株式額面を500円から50円に変更 昭和47年4月 ロンドンに新会社NIKKO-HILLIER INTERNATIONAL TRADING CO., LTD.(現・JALUX EUROPE Ltd.[現・連結子会社])を設立 昭和47年4月 鹿児島営業所開設(旧・鹿児島空港支店、現・福岡空港支店鹿児島空港店) 昭和50年4月 航空機材関連事業を開始 昭和50年4月 沖縄支店(現・沖縄空港支店)設立 昭和57年4月 ロスアンゼルスに新会社JAL ENTERPRISES INC.(現・JALUX AMERICAS, Inc.[現・連結子会社])を設立 昭和59年4月 酒類販売業免許を取得、輸入ワイン販売事業を開始 昭和59年12月 宝飾事業を開始 昭和62年12月 スポーツ事業を開始 昭和63年7月 ハワイに新会社JAL TRADING HAWAII,INC.(現・JALUX HAWAII,Inc.[現・非連結子会社])を設立 平成2年3月 50円額面株式2株を50円額面株式1株に併合 平成3年6月 ㈱日航商事ショップサービス北海道(現・㈱JALUXエアポート[現・連結子会社])を設立 平成4年7月 ジャル・ディー・エフ・エス・デユーティーフリーショッパーズ㈱(現・㈱JAL-DFS[現・連結子会社])へ資本参加 平成5年9月 羽田空港支店開設 平成6年9月 関西空港支店開設 平成8年7月 本社所在地を現在の東京都品川区東品川に移転 平成8年11月 上海に上海駐在員事務所を設立 平成9年11月 日本航空厚生施設センター設立 平成11年2月 バンコクに新会社JAL TRADING ASIA CO., LTD.(現・JALUX ASIA Ltd.[現・連結子会社])を設立 平成11年6月 50円額面株式2株を50円額面1株に併合 平成13年3月 社名を㈱ジャルックスに変更 平成13年6月 定款上の商号を ㈱JALUXに変更 平成14年2月 ㈱東京証券取引所市場第二部上場 平成14年4月 国内営業支店の廃止(事業本部内に統合) 平成15年9月 ウィーンにJALUX EUROPE Ltd., Vienna Branch(PLAZA Wien JALUX)を開設 平成16年1月 ㈱ジェイエイエストレーディングと合併 平成16年3月 ㈱東京証券取引所市場第一部銘柄指定 平成16年4月 ㈱創生事業団と合弁で㈱JALUXライフデザインを設立 平成17年2月 名古屋空港支店を移転し、名称を中部空港支店に変更 平成17年12月 上海に新会社JALUX SHANGHAI Co., Ltd.(現・連結子会社)を設立 平成18年2月 新北九州空港開設に伴い、福岡空港支店北九州空港店を移転。バンコクに新会社JALUX ASIA SERVICE Ltd.を設立 平成18年2月 大阪空港支店神戸空港店を開設(現・関西空港支店神戸空港店) 平成18年7月 香港に新会社JALUX HONG KONG Co., Ltd. (現・連結子会社)を設立
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植物/桜-2009年 2009-04-12 撮影日:2009年03月18日 撮影日:2009年3月19日 名前 コメント ◇◆『植物』へ/
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MISSION:3 ある男の話をしましょう。純粋で実直な男の話です。 男は幼い頃にアーマード・コアの姿を見て衝撃を受けました。 ああ、なんてかっこいいんだろう。 彼はアーマード・コアに憧れました。焦がれました。 ACに乗って颯爽と戦場を駆け抜ける自分の姿を夢見ました。 多くの少年が胸に抱き、成長と共にやがて忘れてしまう夢想。 男の子なら誰でも一度は同じ様な経験があるのではないでしょうか? よくあることです。何も珍しいことではありません。 しかし彼は少年から青年に成長しても尚、ACへの憧れを忘れませんでした。 それどころかACとその操縦者であるレイヴンへの思いは募るばかり。 -レイヴン- 最強の人型兵器“アーマード・コア”を繰り 多額の報酬と引き換えに依頼を遂行する傭兵。 支配という名の権力が横行する世界において 何にも与することのない例外的な存在である。 この有名な一節は男の心を捉えて離しませんでした。 魅入られてしまったのです。 レイヴン――漆黒の翼で戦場を自由に飛び回るワタリガラス。 レイヴン――獲物を狩る孤高のハンター。 レイヴン――災厄を運ぶ凶兆のシンボル。 レイヴン。 その言葉を口にするだけで彼の胸は高鳴りました。 レイヴン。ああ、なんという甘美な響きなんだろう。 もう誰も男を止めることなど出来はしませんでした。 彼は周囲の反対を押し切って、当時レイヴンの派遣を一手に引き受けていた グローバル・コーテックスの門を叩いたのです。 幾多の障害を乗り越え、最終試験という名の実戦を生き抜いて 男は無事レイヴンとなりました。 当初はレイヴンとしての資質を危ぶまれていましたが 実力をつけ、サポート役として傭兵仲間の間で信頼される存在にまでなりました。 大願成就。彼が幼い頃に思い描いた夢は叶った! でも、そう思ったのは本人以外の人たちだけでした。 彼は満足していなかったのです。夢を叶えたとも思っていませんでした。 決して表には出しませんでしたが、理想と現実のギャップに苦しんでいたのです。 企業の駒でしかないレイヴン。 もっと自由な存在じゃなかったのか? いつも主役にはなれない自分。 こんな脇役になりたかったんじゃない! 彼がこんな感情を持ってしまうのは仕方のないことなのです。 だって知っているのだから。 企業と真正面から戦える力を持ったレイヴンを。 常に事件の中心にいて主役であり続けるレイヴンを。 そんな眩し過ぎる存在を知っているのだから。 レイヴンとしての出発点は同じだった。 同じ輸送機に乗っていた。 一緒に投下された筈なのに……。 イレギュラーとの出会いが男にとって幸運だったのか 不幸だったのかは分かりません。 しかし、彼の人生を変える出会いだった事だけは間違いないでしょう。 彼は管理者崩壊の混乱に乗じて姿を消しました。 ◇某山間部 偽装ガレージ 事務室 「またか……」 テーブルの上にずらりと並べられたインスタント麺の1つを手に取って 玲司は不満の声を漏らした。 「またカップラーメンかよ」 不満だらだら。目を細めて心底うんざりした顔を作っている。 「ラーメンが嫌なら他にも色々あるわよ。うどん、そば、パスタ。 え~っと、うまうま塩焼きそばなんていうのもあるけど、どれにする?」 クレアはダンボール箱から色々な種類のインスタント麺を次々取り出して テーブルの上に並べていった。玲司が不満顔をしているのは完璧に無視して。 「そーじゃなくてさ、なにも晩飯までカップ麺にすることはないんじゃないか? こうインスタントばっかりだと体にも良くないだろ」 クレアの手がぴたりと止まった。 「誰のせいでこうなったと思ってるわけ?」 「そりゃまあ……。ひょっとしたら俺かもしれない……」 「ひょっとしたら!? かも!? あたしの聞き間違いかしら?」 「すみませんでした……。俺のせいです……」 フリーランスと言うと聞こえはいいが現実は非情だった。 特定の企業や団体、組織に縛られない自由の代償はあまりにも大きい。 簡単に言うと暇。依頼が無い時は全く無いのである。 運よく舞い込んだ依頼の報酬を変てこなパーツに変えてしまう男が事業主である場合 生活に困らない方がおかしい。これは当然の帰結と言えるだろう。 非常用に買い溜めておいたインスタント麺が出てきたのは、むしろ幸運であった。 「食べないなら格納庫に転がってるパーツを売ってもいいのよ? 鉄クズ同然の値段でも、あれだけ沢山あればそこそこのお金になるんだから。 そのお金で豪勢な夕食に変更しましょうか?」 「そ、それだけはご容赦を……」 「食べられるだけありがたいと思いなさい」 「はい、ありがたいです……」 結局、玲司は土下座までしてインスタント麺に湯を注ぐ破目になってしまった。 (とほほ……) わびしい夕食を黙って口に運びながら彼は自分の軽率な発言を反省したことだろう。 報酬を変てこなパーツに変えたことは多分これっぽっちも反省していない。 懲りない男なのである。 『プルルルル、プルルルル……』 不意に端末の呼び出し音が鳴った。 「あの、クレアさん? 鳴ってますけど……」 「…………出れば」 事務室に2人いる時はいつもクレアがさっと出てくれるのだが 只今はご機嫌斜めの真っ最中。仕方が無いので玲司は自分で動いた。 「はい、阿部です」 『クサナギだ。相変わらず景気の悪そうな声をしているな、玲司』 「なんだ、警備主任のおっさんか。実際に不景気なんだよ」 『おっさんは余計だぞ。それにしてもお前が応対に出るのは珍しいな。 嬢ちゃんはどうした? ついに愛想を尽かされたか?』 「今のところは何とか見捨てられずに済んでるよ」 『それはよかった。お前に仕事を頼みたい』 玲司はボディランゲージで「クサナギ、依頼キタ、機嫌ナオセ」と表現してから 通信を一緒に聞けるように予備のインターコムをクレアに投げてよこした。 『中央支社の襲撃が計画されているという情報が入ってな。 うちの警備部隊と共同で支社の防衛に当たってもらい』 「中小企業も大変だねぇ。敵さんの規模は?」 『一切不明だ。実は未確定情報でな』 「ふ~~ん」 今回と似たような依頼を玲司は過去に2度受けたことがあったが 1度目はクサナギの誇る高級MT<アマノ>で編成された警備部隊の活躍により 出番なし。2度目は襲撃自体が無いまま終わり、出動手当を貰って帰った。 労せずして報酬が手に入る――オイシイ仕事の臭いを嗅ぎ取って玲司はにやけた。 『情報の出所も胡散臭い。俺はデマなんじゃないかと思ってるんだが』 「念の為ってやつね」 『そういうことだ。襲撃がなかった場合も相応の報酬は支払わせてもらう。 そろそろ今期の予算を使い切らなきゃならんからな』 「おっさん、部外者にそんなこと言っちまっていいのか?」 『口が滑った。今のは忘れてくれ』 「しっかりしろよ」 『まあなんだ、お前を推してくれたトラブルダさんに感謝するんだな』 「ああ、あの人か」 ジョン・トラブルダ。クサナギ中央支社の社員。 彼は窮地を救ってくれた玲司に恩義を感じているらしく 根回しをしてオイシイ仕事を振ってくれたりする。 MTトライアル成功の功績で大きく出世したらしい。 暇を持て余している玲司たちにとって非常に有り難い存在となっていた。 「やっぱ、権力持ってる人に気に入られると得だよな~」 『フリーのレイヴンがサラリーマンみたいなこと言いやがって』 「売れてないフリーは大変なんだよ」 『相変わらず暇みたいでよかった。情報によると襲撃は明日らしい。 日付が変わる前にこっちに来て待機しておいてほしいんだが、いけそうか?』 「ちょっと待ってくれ」 玲司はインターコムを一旦保留にしてクレアの方に向き直った。 「これでやっとカップ麺生活からおさらばできる。受けよう」 「でも情報が全く無いのは怖くない?」 「そうか?」 「何もない可能性もあるけど、とんでもない相手が出てくる可能性だってあるのよ」 気が強い割に心配性なパートナーの性格を熟知している玲司は更に畳み掛ける。 「クサナギには2機いればACと互角以上に渡り合えるって謳い文句の<アマノ>が 2ダース以上配備されてるから大丈夫だろ。俺たちの出番はそうそうないさ」 「だといいんだけど……」 「<アマノ>の謳い文句は伊達じゃない。装甲と機動性を両立したバランスの良さ。 それに加えて豊富な重火器。一般的なMTの水準を確実に上回ってる」 「でも……」 「乗ったことのある俺が言うんだから間違いないさ」 自分の力量ではなく、共闘するMTの有用性を力説するレイヴンの姿が そこにはあった。 ※これでも一応主人公です。 クレアは胸の前で腕を組み、ひとしきり考えてから答えを出した。 人差し指をぴっと立てながら、 「ひとつだけ約束して」 「なんなりと」 「危ない思ったら任務を放棄して一目散に逃げること、いい?」 流石の玲司も「レイヴンとしてそれはどうなんだ?」という思いが一瞬過ぎったが それでクレアが納得してくれるならと、二つ返事で肯定した。 「絶対よ?」 「ああ、無理はしない。それに逃げ足の速さには自信がある」 ◇クサナギ中央支社 南東四十キロメートル地点 人の手の入っていない天然の岩場に2機のACが身を潜めている。 片膝を突き、頭を垂れるACの他に人工物はない。 あたりを支配するのは月明かりと夜の静寂ばかりだ。 2機のACの足下に一組の男女がいた。 男は落ち着いた雰囲気で、壮年かそれ以上の歳を重ねているかもしれない。 女は若く、いたるところにまだあどけなさが残っている。 少女と言っても差し支えないだろう。 いずれも黒いレイヴン用のパイロットスーツに身を包んでいた。 「手筈は分かっているな?」 壮年の男が少女に確認した。 「はい、雲さま! バッチリです!」 少女は手を挙げて自信満々に答えた。 「言ってみろ」 雲と呼ばれた壮年の男は少女の瞳を真っ直ぐ見据えながら再度確認した。 「はい! アタシと雲さまの2人で乗り込んで暴れ回ります。 なんでも潰せば潰すほど報酬が増えるんですよね?」 「ああ、稼がせてもらうつもりだ」 「テッテーテキにやっちゃいましょう」 「それで次はどうする?」 「キリのいいところでアタシが目標の確保に走ります。 雲さまに背中を守ってもらいながら。 えへへ、久しぶりの共同作業ですね!」 雲は少女の照れた笑顔を気にも留めずに頷いた。 「要点は抑えているな。及第点だ」 「えぇぇ~、もっと褒めてください。エリーアは褒められると伸びる子なんです!」 「最後までミスをしなければな」 「教え子をもっと信頼してくださいよ~」 「お前の操縦技術“だけ”は信用している」 「その他はダメなんですか?」 「駄目だな」 「そんなぁ~、酷いです」 「結果を出して見せろ」 ◇セントラル・シティ ハイウェイ 都市の高速道も深夜が近くなるに連れて、普通車両の数は減り 変わりに物流業者の大型車両が目立ち始める。 彼らは道路が空く時間帯を狙って業務を効率的に行うのだ。 そんな物流業者たちに雑じって走る1台のトレーラー式車両は中でも一際大きかった。 後ろにつかれれば、道を譲りたくなる程の迫力がある。 そのトレーラーは3つの車両が連結されて成り立っていた。 先頭は牽引車両である黒いトレーラーヘッド。 次に紺色のコンテナと一体になった1つ目の被牽引車両。 最後尾は荷台に巨大な積荷を載せ、覆いを被せてある2つ目の被牽引車両。 どんな厳つい男がこのモンスタートレーラーを運転しているのだろうかと 興味を引かれ、運転席を覗き込む者がいたならば、さぞ面食らった事だろう。 ハンドルを手にしているのは華奢な若い女――クレア・ゴールドスミスなのだから。 このトレーラーはトランスポーターとオペレーターを兼任する彼女の足であり 目であり耳。アーマード・コアの輸送車両兼指揮車両なのだ。 「レージさ、今何か欲しい物ってある?」 クレアは助手席で雑誌を丸めて読んでいる玲司をちらりと見て話を切り出した。 「そうだな……」 玲司は手に持っている雑誌から視線を外さずに答える。 「頭部パーツが欲しいかな。できるだけ多機能で賢いやつがいい」 「そういうのじゃなくて、もっと普通な物で」 「なんだよ急に」 「もうすぐレージの誕生日でしょ?」 「ああ……。そういえばそうだな」 玲司は気の抜けた返事をした。 「まさか自分の誕生日を忘れてたの?」 「ガキの頃は親父にプレゼントをねだれる数少ないチャンスだったけど それが出来なくなってからはなぁ……」 「あきれたわね。そもそも誕生日っていうのは――」 玲司は適当に相槌を打ちながら、2週間ほど前の事を思い出した。 (そういえば、シェリーにも同じ様な事を聞かれたな。 今年は期待してくれとかなんとか言ってたっけ。女っていう生き物は どうしてこういうイベント事を大切にする傾向があるんだろうな) 「ちゃんと聞いてる?」 「聞いてるよー」 「それでね、誕生日はお祝いをしてもらうだけじゃなくて 生まれて来たことに感謝する日でもあるの。つまり――」 延々続くかと思われたうん蓄と相槌の応酬を無線の呼び出し音が遮った。 「はいはい、どちらさまですか?」 玲司が無線機をさっと取った。 『玲司、今どこだ?』 「おっさんか?」 名乗りもせず、いきなり玲司たちの現在地を確認するクサナギ警備主任の声には 焦燥の色があった。2人は不穏な気配を感じ取り、気を引き締めた。 「後30分もあればそっちに着く。何があった?」 『レーダーが所属不明のACを2機捉えた』 「襲撃は明日じゃなかったのかよ」 『俺に言わんでくれ』 「ヤバそうなのか?」 『まだ分からん。だが出来るだけ早く来てくれ』 「待ってろ、5分で行く」 無線を切った玲司は狭い助手席でパイロットスーツへの着替えを始めた。 「ちょっと、バカ! こんなところで脱がないでよ!」 「非常事態だ。我慢しろ」 「5分で行くって、まさか!?」 「ここから<ホワイトリンク>で飛べばそのくらい短縮できる」 「無断で街中を飛ぶつもり!?」 「非常事態だ。事後申請よろしく」 「もう無茶苦茶よ!」 「ぶーたれてないでちゃんと運転しろ。少しでも距離を稼いでくれ」 「レージ、わかってると思うけど――」 「身の危険を感じたらちゃんと下がるさ。 ポーズでもそれなりの対応をしとかないと、後でマズイだろ?」 「それはそうだけど……」 「クソッ……。足の遅い重二で来るんじゃなかった」 ◇クサナギ中央支社 研究棟 ドーン。ドドーン。ドーン―― 大気を震わせ、断続的に続く戦闘の音。 中央支社の敷地内では戦闘エリアから一番離れている研究棟の中まで聞こえてくる。 「始まったみたいだな。チクショウ、ツイてねーぜ」 警備部隊の制服を着た大男は研究棟2Fの通路を走りながら悪態をついた。 「まったくッス。襲いに来るのは自分たちが休みの明日にしてほしかったッス」 同じ制服を着た細身の男が並走しながら同意した。 「おめーはわかってねーなぁ」 「どういうことッスか?」 「俺は<アマノ>で迎撃に出たかったんだよ」 「でも相手はACッス。危ないッスよ」 「だからいいんだろーが!」 「先輩は死に場所とか求めちゃうタイプなんスか?」 「ちげーよ」 やる気が萎えた体で大男は足を止め、防弾ベストの下から煙草を取り出した。 大男の様子を見た細身の男も遅れて走るのを止めた。その場で足踏みしながら―― 「急がなくていいんスか?」 「いいんだよ、ちょっと落ち着け」 大男は煙草に火をつけて美味そうに煙を吐き出した。 「うちには<アマノ>が何機あるか知ってるか?」 「即稼動状態のが25機あるッス。予備や整備点検中の物 工場で組み立てを終えて出荷を待っている物も合わせれば40機以上ッス」 「勉強熱心じゃねーか」 「ウッス」 「じゃあ今回迎撃に出たのは何機だ?」 「20機ッス」 「<アマノ>の戦力評価は?」 「2機でAC1機と同じぐらいッス」 「こっちには<アマノ>20機と迎撃装置もある。AC2機にやられると思うか?」 「思わないッス」 「だろう? レイヴンを仕留めて箔をつけるチャンスなんだよ」 「なるほどッス」 「俺はクサナギのちっぽけな警備部隊で終わるつもりはねーからな」 「さすが先輩ッス!」 「それに俺たちMT乗りを格下に見て調子に乗ってるレイヴン野朗を袋叩きにできる またとないチャンスだろう? こんな時に逃げ遅れたアホな研究員の保護なんて 冗談じゃねーぞ。だいたい主任はビビリすぎなんだよ」 「先輩はきっとビッグになるッスね」 「あったりめーなこと言ってんじゃねーよ!」 「あれ? 先輩、何かこっちに来るッス……」 不意に細身の男が窓の外を指差して呟いた。 「何かじゃねーだろ。報告はいつも具体的にし――なんだありゃ!?」 赤い。赤いACだ。赤い軽量二脚のACが真っ直ぐ研究棟に向かってくる。 次の瞬間、おそろしい衝撃が2人を襲った。 壁が、床が、天井が砕けた。ガラスが、鉄筋が、コンクリートがばらばらになった。 大男は色々な物の破片がスローモーションで飛び交うのが見えた。 後輩の頭に目掛けて巨大なコンクリートの塊が襲い掛かろうとしている。 (危ねぇ、避けろ!) 声は出ず、身体も動かない。 吹き飛ばされた後輩の頭が潰れる様を見ていることしかできなかった。 次の瞬間、スローモンションは解除され、大男自身も吹き飛ばされた。 「あ、ああ…………。チク……ショウ……」 破片に埋もれた大男は呻き声を上げた。 朦朧とした意識の中で身体に命令を送るが 全身をひどく打ちつけられたらしく、全く言うことを聞いてくれない。 『あちゃー、勢いよくぶつかりすぎちゃった……。生きてますか?』 この惨事を起こした元凶が、崩れ落ちた壁の隙間から大男に話しかけた。 巨大な赤い頭部。不気味に光るカメラアイ。それらとはミスマッチな幼い女の声。 『ちょっと教えてもらいたい事があるんですけど』 ◇クサナギ中央支社 クサナギ中央支社とその周辺はやけに明るかった。 照明の灯りではない。燃えているのだ。 撃破されたMTの残骸が、破壊された固定砲台が 崩れた支社ビルが、原形を留めていない生産工場が。 あたりは炎に包まれていた。 「これは一体……」 <ホワイトリンク>を駆り現場に近づく玲司に緊張が走った。 頭部カメラの最大望遠で索敵。 炎の中で悠然と周囲の施設を破壊して回るACの姿を捉えた。 赤と黄の2色で塗装された中量二脚型。 そのカラーリングからまるで炎そのもののように見える。 「クレア! 敵AC照会」 玲司は通信機に向かって叫んだ。 『2秒待って』 トレーラーで<ホワイトリンク>からの映像を受け取ったクレアが答える。 きっかり2秒後。 『あの赤黄色のACは<エスポワール>。レイヴンは庵野 雲――』 「アンノウン? ACは特定できるのにか?」 『そういう名前のレイヴンなのよ! それより庵野 雲はレージの敵う相手じゃないわ』 「だろうな……」 ぱっと見ただけでも既に15機以上の<アマノ>がやられている。 しかもコックピットや主要部を一撃で。 2機いればACと互角以上に渡り合えるスペックの<アマノ>。 並のAC2機に対して、この惨状では計算が合わない。 「2機……。もう1機はどこに行った?」 まるで玲司の独り言を聞いていたかのようなタイミングで クサナギ警備主任から通信が入った。 『玲司、来てくれたか! その赤黄色ともう1機、赤いACが研究棟の方にいる。 こいつら、うちの部隊じゃ全く歯が立たん。なんとかしてくれ!』 「研究棟?」 『ゴールドスミス博士がまだ研究棟にいる。逃げ遅れているんだ!』 「シェリーが!? あのバカ……」 玲司は何もせずに逃げるつもりは元より無かった。 クレアが何と言おうと、報酬分の仕事はこなす腹積もりでいた。 (実力差があるならあるで、それなりの戦い方がある。だが……) 事態は急変した。一刻を争う物へと。 「聞いての通りだ。やるぞ、クレア」 『レージ、あたしは……』 「わかってる。それ以上言うな」 消え入りそうな声のクレアと自分自身を奮い立たせる為に言葉を続ける。 「俺は死なないし、シェリーは助ける。だから力を貸してくれ」 『……うん、了解』 交戦距離の一歩手前。 炎に包まれたクサナギの敷地内で<ホワイトリンク>と<エスポワール>は対峙した。 <エスポワール>は周囲の施設を破壊するのを止め 突然現れた<ホワイトリンク>を値踏みするかのように見ている。 余裕か、作戦か、<エスポワール>は即座に仕掛けてこない。 この状況で落ち着き払っている様子が不気味だった。 何を考えているのか分からない。しかし、研究棟に向かおうとする玲司を すんなり通してくれない事だけは間違いないだろう。 無視して背中を向ければ、背後から撃たれて終了。 どうにかして倒す以外の選択肢はない。 「おっさん、もう戦力は残ってないのか?」 『第二格納庫に<アマノ>が5機あるが、奴に近すぎて出られん。狙い撃ちにされる』 <エスポワール>の左後方に黒煙を上げている格納庫を確認。 建物自体が倒壊寸前に見えるが、警備主任の言から察するに中のMTは無事のようだ。 「俺が奴を引き付ける。その隙に出せ」 逸る気持ちを抑えて、玲司は冷静な判断を下した。 (時間が惜しい……) しかし、単独では<エスポワール>と庵野 雲には絶対に勝てない。 玲司の主観と客観の両方がそう告げていた。 「クレア、<アマノ>5機とのデータリンクを頼む。奴を囲い込んで潰す」 ◇クサナギ中央支社 研究棟 第十三研究室 夕方、研究室に1つの案件が持ち込まれた。 とても知的探究心をかきたてられる内容だった。 例えるなら、解けそうでなかなか解けない意地悪パズルのような物だ。 ああでもない、こうでもない。 これはどうだろう? やっぱりこうかな? 仮説-検証-仮説-検証の工程を延々と繰り返す必要がある。 普通の人間は難題相手に狭い部屋で根を詰めると精神的に参ってしまうが シェリー・ゴールドスミスはそれらを全く苦にしない。 むしろ楽しんでしまうタイプの人間だった。 理想的な研究者体質と言えるだろう。 しかし、シェリーの研究者体質にも欠点がないわけではない。 彼女は一度本気で取り組むと、没入してしまうのだ。 周りが全く見えなくなってしまう程に。 今回はその欠点が災いした。 警備部隊から連絡を受けるまでクサナギが襲撃されている事に 全く気づかなかったのだ。研究棟にたった1人で取り残されてしまっていた。 それでもまだ「大丈夫でしょう」と、のん気に構えていたシェリーであったが 研究棟に何か巨大な物がぶつかった轟音と衝撃。 さすがに考えを改めさせられた。 落ち着かない素振りで狭い研究室の中を行ったり来たり。 すぐに迎えに行くと言っていた警備部隊の人を待ってみるが、一向に来る気配がない。 心配になって呼びかけてみると、連絡自体が取れなくなっていた。 このまま部屋に残って危険が通り過ぎるの待つべきか。 それとも自力で安全なエリアまで避難をするべきか。 決断を迫られたシェリーは後者を選択した。 丸腰では心もとないと考え、私物を入れてあるロッカーの中をゴソゴソとまさぐる。 「たしか、ここに…………。え~~と…………。あっ、ありました!」 ずいぶん前に護身用にと玲司からもらった電気銃。 ワイヤー針を発射する使い捨てタイプで、有効射程は五メートル程度。 命中すれば高圧電流を流して相手を気絶させるこができる。 役に立つかは分からないが、無いよりはマシだろう。 電気銃を白衣の右ポケットに収め、動きやすいように髪をまとめる。 「よし!」 脱出の準備は整った。後は行動するのみ。 セキュリティを解除して部屋の出入り口に向かう。 何故かドアが独りでに開いた。 ――いや、独りでに開いたのではない。部屋の外側から誰かがドアを開けたのだ。 「「あっ!?」」 シェリーとドアを開けた人物は、同時にまぬけな声を上げた。 「「…………」」 膠着。2人は顔を見合わせたまま時間が止まったかのように固まった。 先にシェリーが口を開いた。 「あの、警備部隊の方じゃ、ないですよね……?」 その人物は玲司がよく着ているパイロットスーツに似た格好で、腰のベルトに ファイティングナイフとハンドガン、手にはサブマシンガンという完全武装。 シェリーの知る警備部隊の装備とは明らかに異なっていた。 「はい、違います」 シンプルな返答。そしてサブマシンガンの銃口がこちらに向けられる。 シェリーは両手を上げて抵抗の意思が無いことを示した。 「シェリー・ゴールドスミス博士ですね? 一緒に来てもらいます」 (ずいぶんと幼い声……) ヘルメットを被っており、はっきりと顔は見えない。 スーツのシルエットから若い女と推測していたのだが、相手は少女のようだ。 光明が見えた。まだなんとかなるかもしれない。 「手を下ろしてもいいですか? このポーズは辛くて……」 「無駄なテーコーはしないでくださいね」 「もちろんしませんよ」 「じゃあ、オーケーです」 (思ったとおり、甘いですね) 両手をゆっくりと下ろしながらシェリーは手応えを感じた。 いけるかもしれない、と。 「後学のために教えてもらいたいんですが わたしを連れて行くとどのぐらい貰えるんですか?」 「いくらだっけ……。こ、細かいことは後で雲さまに聞いてください!」 「わたしに直接の恨みがあるわけではないんですね。 その雲さまという人と今話しをせてもらえませんか?」 「それはダメ。アタシが怒られるんで」 「ダメですか……」 「ダメ」 「条件次第ではわたしを逃がした方が得になるように提案できるかもしれませんよ?」 「…………」 少女は少し考えた後、おもむろに腰からハンドガンを抜き――発砲。 「これでもう逃げられない」 「えっ……!?」 突然の衝撃。その場に倒れた。右足に力が入らない。 血が流れている。わけがわからない。 (撃たれ、た……?) ショック状態から徐々に回復して、意識がハッキリしてくると 脳天を突き抜けるような激痛がシェリーを襲った。 「むぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」 あまりの痛みにのたうち回り、悶絶しそうになるのを堪えて 右足の銃創を必死で押さえるが、血はだらだらと溢れて止まってくれない。 「じ、じんで、じまいまずぅぅぅぅぅぅぅ……」 少女はシェリーを見下ろしながら平然と言った。 「足の付け根を圧迫するといいですよ」 まるで応急処置の訓練でもしているかのような口調で、悪びれた様子など微塵もない。 言われたとおりに止血を行いながら、シェリーは思い知った。 自分が相手にしている少女が、どれほど危険な存在であるかを。 そして交渉の余地が無いということを。 「血は止まったみたいですね。あーあ、時間食っちゃったな~。 余計なお喋りはナシで黙って付いて来て下さいね?」 「わ、わかまりました! だからもう撃たないでください!」 撃ち抜かれた右足を庇いながらシェリーはヨロヨロと立ち上がった。 「とぅーとぅーとぅーとぅ♪ とぅーとぅーとぅーとぅとぅー♪」 少女はお互いの立場を明確にできた事に気分を良くしたのか 鼻歌を口ずさみながらシェリーを急き立てた。 「ハァ……、ハァ……、ハァ……、ハァ……、ハァ……」 身体が重い。大量の血液を失ったせいで意識が朦朧としてきた。 そのくせ一歩毎に酷い激痛が走る。まるで拷問だ。 「ハァ……、ハァ……、ハァ……、ハァ……、痛……ッ!」 傷口に何かぶつかった。恐ろしく痛い。 白衣のポケットに何か硬い物が―― (あっ! 電気銃……) ◇クサナギ中央支社 5機中4機。 それが陽動を行い格納庫から無事に出せた<アマノ>の数だった。 玲司は間に合わなかった1機の断末魔に「すまない……」と返しながらも それ以上感情が引っ張られることを良しとはしない。冷静さを失えば全て終わる。 「MTを1機失った。それだけだ」そう自分に言い聞かせて 今は失った戦力と新しく得た敵ACの情報を元に作戦を練り直す。 AC1+MT4 対 AC1。数の上ではまだこちらが優勢。 しかし、赤黄色の敵AC――<エスポワール>の戦闘力を 目の当たりにした後では楽観できる状況ではなかった。 「どう攻める……」 <エスポワール>の構成は中量二脚、ライフル、ブレード、ミサイル。 ACの教科書があれば範例として載っていそうな程、基本に忠実な組み合わせ。 多くのレイヴンが出発点とするアセンの基本形なのだが この基本形というのがなかなか合理的な代物で隙がない。 そして一流の乗り手によって基本は万能へと昇華される。 目の前にいる庵野 雲と<エスポワール>がまさしく“それ”だった。 あらゆる状況に対応が可能な万能タイプ。 敵の弱点を突く戦い方を得意とする玲司にとっては一番厄介な相手と言える。 その上、雲は玲司より明らかに格上のレイヴンなのだから尚更だろう。 唯一の救いが玲司の乗機<ホワイトリンク>の構成だった。 拠点防衛用に装甲の厚い重量二脚を選択し 更に左腕には機体の左半身を覆うほど巨大な実体シールドを装備。 装甲自体と盾の両面から耐久性にかなりの信頼が置ける。 防御面では明らかに<ホワイトリンク>は<エスポワール>に勝っているのだ。 この有利を利用して格上の相手に打ち勝つ戦法。 (ある……) シンプルかつ効果的な戦法――肉を切らせて骨を断つ。 あえて切らせる肉、問題ない。 骨を断つ為の火力、問題ない。 <ホワイトリンク>の右腕には手に入れたばかりの<カラクサⅢ>。 本家<カラサワ>に劣らぬ攻撃力を備えており これ一丁で近~中距離を幅広くガバーできる。 そして背部の両スロットを占拠している大物――ガトリンググレネード。 束ねられた6つの砲身から36発の小型グレネード砲弾を連続発射可能な代物で 全弾命中すれば一瞬でACを蒸発させることができるゲテモノ武装である。 (ゲテモノぐらいでちょうどいい……) 玲司の前に立ち塞がっているのはそういう相手だ。 オーバーキルを行うぐらいの心構えで挑むのが丁度いい。 (もう1機への切り札としてガトリンググレネードは温存しておきたかったが そんな余裕はない、か……。仕方ないな。 問題はどうやって取り回しの悪いコイツを当てる?) 肉を切らせて骨を断つと言っても、そう簡単に思惑通り運ばせてはくれまい。 失敗は許されないのだ。少しでも成功確率を上げる必要がある。 <アマノ>4機に手伝ってもらうしかないだろう。 「警備部隊MT全機へ、距離を取って――」 『あんた同じレイヴンなんだろッ、なんとかしてくれッ!』 『こ、こっちに来るなぁぁぁぁぁぁ!!!!!』 『いやだ、まだ死にたくないぃぃぃぃぃぃぃ!』 『ぶち殺してやるーー! 死ねーー!』 「まっ、待て!」 玲司の制止を振り切って1機が猛然と突撃した。 1機は逃走を始めた。 1機は所構わず火器を乱射。 1機はなんとかその場に踏み止まった。 まるでちぐはぐな動き。 (しまった……!) 冷静さを保つ為に<アマノ>を只の戦力と割り切って考えていたのが裏目に出た。 中に乗って操縦しているのは血の通った人間、機械ではない。 パイロットたちは恐慌という名の戦場病に蝕まれていたのだ。 作戦は一瞬で瓦解。玲司は歯を食い縛って自分の甘さを呪った。 突撃する1機を援護しようと<カラクサⅢ>を構えるが――射線を確保できない。 (駄目だ、味方に当たる) <エスポワール>はこの隙を見逃さない。 ナックルガードを展開して豪快に殴りかかった<アマノ>を ひらりとかわして、すれ違いざまにブレードで一閃。 突撃機は胴体を薙ぎ払われて真っ二つとなり――爆散した。 派手に吹き飛んだMTを背にして<エスポワール>はライフルを構える。 狙いは逃げ出した<アマノ>。その無防備な背中に向けて、2発撃ち込む。 内1発の銃弾が背面ブーストのノズルに入り込んで逃走機は内側から爆ぜた。 (なんだ、これは……) 瞬く間に2機やられた。 (レベルが、違いすぎる……) 玲司は自分が庵野 雲をまだまだ過小評価していたことに気づいた。 こんなバケモノには―― 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、勝てない、 だが……負けるわけにはいかない。 その理由を思い出して玲司の精神は踏み止まった。 (研究棟に取り残されたシェリーはどうなる? クレアに大見得切っただろうがぁ!) 自分が死に、シェリーがどうにかなれば、あいつは独りで残される。 脳裏に浮かんだパートナーの泣き顔――我慢がならない。 玲司は消えかかった戦意の炎を再び燃え上がらせ、思考を巡らせる。 (状況は悪化、AC1+MT2 対 バケモノAC1。 所構わず火器を乱射してる奴は使い物になりそうもない。 実質、AC1+MT1 対 バケモノAC1か……) ゆっくりと、しかし確実に赤黄色の悪魔<エスポワール>は迫ってくる。 「クソッ……」 戦意は保てても状況を打開できる妙案など都合よく浮かんではこない。 (無心で、全力でぶつかってみるか? 中途半端な事をするよりはよっぽ――) 『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』 通信からの絶叫が玲司の思考を遮った。 気が狂ってしまったのか、はたまた赤黄色の悪魔から逃れる術はないと悟ったのか 火器を乱射していた<アマノ>は全ての弾薬を撃ちつくして 今度は猛然と<エスポワール>に突撃した。 「やめろ!! 死ぬ気か!?」 『――ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』 玲司の声は絶叫にかき消され、本人には届かない。 <ホワイトリンク>の陰に隠れているもう1機の<アマノ>。 そのパイロットが叫んだ。 『あいつごと撃てッ!』 「なにっ!?」 『背中のデカブツは飾りじゃないんだろッ!』 「だが」 『もう助けられないんだよッ!』 「ぐっ……」 <ホワイトリンク>は腰を落とし、実体シールドを前面に構えた。 関節各部をホールド。ガトリンググレネードを展開。 砲身を回転させて射撃体勢に入るが――撃てない。 このままではどうせ全滅する。 そのことがわかっていても玲司はトリガーを引けなかった。 味方を殺すことへの強烈な抵抗感。それが合理的な選択を許さなかった。 『どうして撃たないッ、レイヴゥゥゥン!!!』 己が身を省みない、狂ったような機動で近づいてくるMTを <エスポワール>は軽くいなしてブレードで一撃の下に葬った。 まるで歴戦の闘牛士のように一切の無駄なく完璧に。 『レレレ、レイヴゥゥゥン!!!』 非情になりきれない甘さ。無駄死にとなってしまったMTパイロット。 それらの事を考える暇など玲司にありはしない。 (く、来る……) 雲は動きを止めている<ホワイトリンク>に狙いを定めた。 もう後には引き返せない。迎え撃つ以外の選択肢は皆無。 ガトリンググレネードの反動に耐える為に必要な射撃体勢を整える機会が この後に訪れる保障はどこにもないのだ。ここが正念場。 <エスポワール>が間合いを詰めながら放つライフルとミサイルの雨を かわすことはかなわない。頼みは左腕に装備した実体シールド。 これでACの主要部であるコアを守る。はみ出た部分は重二の装甲に頼る他ない。 (持ちこたえてくれ!) 着弾の衝撃がシールドを通してコックピット内にまで伝わってくる。 シールドは――――抜かれていない。 ライフル弾を弾き、ミサイルの爆発に耐えている。 (必中だ、もっと近づいて来い、限界まで引き付けて) 狙いは<エスポワール>の足元――地面に着弾させて爆風に巻き込む算段。 一瞬でも怯ませることができれば、後は全弾叩き込む。 まだだ まだだ まだだ 今―― 「消し飛べーーーーーーーーーーーー!!!」 玲司は叫びながらトリガーを引き絞った。 高速で回転するガトリンググレネードの砲身から 小型グレネード砲弾が連続で放たれた。 初弾――逸れた。 次弾――浅い。 次々弾――あと少し。 次々々弾――発射されない。砲身が空回りした。 (なっ!?) GATLING GRENADE 33/36 (つ、つまった!?) そうではない。雲にやられたのだ。 敵は頑丈な盾を構える<ホワイトリンク>に対して 無為に攻撃を仕掛けていたのではなかった。 ガトリンググレネードの無力化を狙っていたのだ。 盾の守備範囲から外れており、ガトリンググレネードの構造上一番脆い部分 ――砲身と弾倉を繋ぐ給弾ベルトを撃ち抜くことに雲は成功していた。 神業の領域のピンポイントショット。 それ以外の攻撃は全て本命を隠す為の囮に過ぎなかった。 玲司は疑問に思わなければならなかったのだ。 明らかに脅威であろう武装を構えた<ホワイトリンク>に 敵は何故、近づいてくるのか? 無策である筈がない。 『レージ、逃げてぇ!』 クレアの声で我に返った玲司はもう使い物にならないガトリンググレネードを 即座にパージして捨てた。関節各部のホールドを解除。 雲の<エスポワール>が迫る。回避は――間に合わない。 玲司は<ホワイトリンク>を半身の構えにして、実体シールドを前に押し出した。 (こいつならまだ耐えられるはずだ) <エスポワール>の武装の中で一番攻撃力の高いブレードの一撃が間違いなく来る。 しかし、この予測は間違いだった。 雲は<ホワイトリンク>の持つ実体シールドの防御力を既に推し量っていた。 手持ちのブレードで無駄な攻撃などは仕掛けない。 <エスポワール>はブーストのスピードを乗せたまま装甲の厚い肩口から シールドにぶつかった。有り体に言えばタックル。 ACという巨人のタックルは凄まじい衝撃を生み出すが <ホワイトリンク>のシールを破壊するまでには至らない。 だが、シールドを持つACの腕は別だった。 全ての衝撃を支えることになった左腕のマニュピレーターは 負荷に耐え切れず、悲鳴を上げて砕け散った。 左腕と盾を失った上、吹き飛ばされる<ホワイトリンク>。 天地が逆さまになった。前後左右が分からない。 視界がぐるぐると回って、次の瞬間には地面に叩きつけられた。 「ぐはっ……」 ACの衝撃吸収システムでも拾いきれなかったショックが玲司を襲った。 (まだ、やれる……) 機体を起き上がらせ、受けたダメージを確認しようとするが 視界がぼやける。頭が回らない。体が言うことを聞かない。 (や、やばい……) そう思った直後に玲司の意識は途絶えた。
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